11.薬は牛乳やジュースで飲んでも大丈夫?・・・
 牛乳は胃の粘膜を保護しますので、鎮痛剤など胃を荒らす薬の場合は牛乳と一緒に飲むのも良いと思われますが、例えばテトラサイクリン系抗生物質の塩酸ミノサイクリンやニューキノロン系抗菌剤のノルフロキサシン、オフロキサシンといった薬は、牛乳や乳製品、胃酸の仲間の制酸剤(市販薬も)の中のカルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどと胃の中でくっついて吸収が悪くなり、効果が弱くなってしまうことがあります。
また、高血圧や狭心症の治療薬であるカルシウム拮抗剤をグレープフルーツジュースと一緒に飲むと、薬の作用が強くなりすぎて、血圧が下がりすぎたり、心拍数が増えたり、めまい、ふらつき、頭痛、顔面のほてりなどが起こったりすることがあります。これはグレープフルーツの苦味成分である「ナリンギン」というフラボノイドが腸の中の細菌によって「ナリンゲニン」という形に変身させられ、これが薬の解毒酵素の働きを邪魔する結果、薬を飲み過ぎたのと同様の症状が出るためです。したがって、薬を飲むときは原則として「水またはぬるま湯」で飲むようにし、牛乳は薬を飲んでから1時間ほど時間を置いて飲むようにすると良いでしょう。また、グレープフルーツの影響は8時間ほど受ける場合がありますので、高血圧や狭心症の薬を飲まれている方は、グレープフルーツを取らないほうが賢明です。

12.薬と嗜好品(コーヒー、たばこ、お酒)との相性は・・・
 日常生活において代表的な嗜好品と薬の相性を見てみましょう。
まず、コーヒーにはカフェインが含まれています。このカフェインと相性の悪い薬が多々あります。痛風の薬を飲んでいる時にカフェイン入りの飲み物を飲むと、薬の効果が落ちることがあります。痛風の薬は尿酸という物質を体の外に出す働きがあるのですが、カフェインと尿酸が似ているためカフェインが尿酸の変わりに体の外に出され、結果尿酸が体内に残ることになります。また、シメチジン入りの胃腸薬は、シメチジンがカフェインの肝臓での解毒を抑えるためカフェインの副作用である動悸、めまい、振るえ、不安、不眠などが起こることがあります。さらに市販の風邪薬にもカフェインが含まれているものが多くあり、それらの薬を飲んでいる時にコーヒーや紅茶などのカフェイン入り飲み物を何杯も飲むとカフェインの取りすぎで頭が痛くなったり、いらいらしたりすることがあります。
 たばこと相性では、気管支に作用するテオフィリンという薬は、喫煙によって体から早くなくなるため、効き目の持続時間が短くなることがあります。経口避妊薬(ピル)は、たばこに含まれるニコチンによリ、もともとこの薬が持つ「血の塊ができ血管が詰まりやすくなる」という副作用が出やすくなります。そのため心筋梗塞などの心臓血管系の病気になる確率が高くなります。さらに、アンチピリンという成分の痛み止めは、喫煙により薬の効果が弱くなることがあります。特に若い人にはたばこの影響が大きく出るようです。
 最後にお酒(アルコール)はもともと脳や脊髄を支配する中枢神経を抑制したり、血管を広げたりする作用があります。そのため抗不安剤や催眠鎮痛剤の効果を強くしたり、抗ヒスタミン剤でめまい、頭痛などが出やすくなったりします。また、血圧を下げる降圧剤の効果を強くするため、たちくらみが起きたり、起立性低血圧になったりすることもあります。さらにセファム系抗生物質のいくつかはアルコールの代謝酵素の邪魔をして血中にアセトアルデヒドという物質(二日酔いの原因)が増えるため、顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、血圧が下がったなどの二日酔い状態になることがあります。
これらはあくまでも一例です。できれば薬を飲んでいる時は少し嗜好品を控えるようにしたほうが賢明でしょう。